GaN研究の歴史とこれから

青色LEDが照らす、明るい未来

青色LEDを光源とする白色LED照明は、蛍光灯を上回る高い効率で、かつ長寿命という特徴を持つため、日本国内において急速に普及しています。その普及率は2013年には50%、2020年には70%に達すると予測されています。(富士キメラ総研推定)。その普及により、国内全発電量の約7%を削減できるとされ、これは原子力発電所十数基分に相当します。
今後は国外でも普及が進み、全世界での経済波及効果は3,500億円、雇用創出3.2万人と言われています。(2005年、科学技術振興機構(JST))
また、LEDを用いた照明は小型かつ少ない電力で長時間使用できることから、インフラを持たない世界15億人の人々に明るい夜を届けることも可能です。
GaNは新世紀のあかりとして明るい未来を照らす材料です。

青色LED開発の歴史

青色LEDは、適した材料の作製が非常に困難であったため、20世紀中の実現は不可能とされていました。有力な材料候補の1つであったGaN(窒化ガリウム)は、きれいな結晶を得ることが特に難しく、1980年頃には多くの研究者はあきらめてしまいました。
しかし、赤﨑特別教授と天野教授は、科学的特性に裏付けされた信念によりGaNの高品質化に粘り強く取り組み、1982年にバッファ層技術を発明し、サファイア基板上に非常にきれいなGaN結晶の作製に成功しました。
その後、LEDに電気を流すために必要なn型およびp型GaN、青い光を効率よく出すために必要な高品質InGaN結晶やLEDの構造が、次々と実現されました。
豊田合成、日亜化学がこれらの技術を基に製品化し、その性能は急速な進化を遂げました。さらに黄色または緑と赤色の蛍光体と組み合わせることにより、新世紀のあかり=白色LEDとして広く普及しました。
現在、GaNおよび青色LEDの技術は各種照明、ディスプレイ、Blu-rayディスク、イルミネーションなどわたしたちの社会に、広く深く浸透しています。

更なる省エネへ~パワーデバイスへの応用~

家電製品から電気自動車や発電所での電力変換などに用いられている直流・交流変換器には、パワーデバイスが使われています。現在はその材料としてSi(シリコン)が用いられています。
一方、GaNは大きな電圧に耐えうる性能が、Siの10倍も高いため、同じ性能を持った部品を、シリコンの10倍薄く作ることができます。そのため、電気を流したときの抵抗が小さくなり、エネルギー損失が約1/10になるので、大きな省エネ効果が期待されています。
日本にはこのパワーデバイスを実現するための高度な技術を持つ研究機関、企業が多数あります。現在、産官学の連携によりその技術を集約し、名古屋大学を中心とした新たな省エネルギー技術革新を実現するための研究体制構築が図られています。未来エレクトロニクス集積研究センターはその中核機関の一つを担います。

次世代半導体GaNの、多様な用途

GaNは、LED照明以外にも多くの応用可能性を秘めた「未来材料」です。
研究資源の集中と加速により、材料の可能性を最大限に引き出し、3つの生活・社会テーマに関する様々な用途への応用に取り組みます。

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